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チェコのビール豆知識


プラハIプルゼニュIブジェヨヴィツェ][ビール銘柄
  • ピルスナー・ラガーの母国
  • 黒ビールは"トゥマーヴェ"
  • ビールゆかりの地
  • どこでビールを飲むか?
  • "ピヴニツェ"でビールを飲む
  • [本・参考文献]

  • ピルスナー・ラガーの母国

    ピルスナー・ビール発祥の地・プルゼニュがあるチェコは、ラガー(下面発酵)ビール王国。 びんや缶入りのものも、街の酒場で飲める生ビールも、国産のピルスナー・タイプが多い。
    びんに入ったプラズドロイ(ピルスナー・ウルケル)ブジェヨヴィツキー・ブドヴァル(ブドヴァイゼル・ブドヴァル)なら日本でも買えるが、同じ銘柄でも、ピヴニツェなどで飲める生ビールは、瓶詰めよりはるかに風味が豊かで、コクもあって、まるで違うビールのようだ。ただし、濾過されていることが多いらしい。
    チェコ語でビールは“ピーヴォ(pivo)”、醸造所のことは“ピヴォヴァル(pivovar)”と言う。
    
    黒ビールは“トゥマーヴェ”
    
    ピルスナー・タイプに次いで多いのが、黒ビールで、チェコで飲めるビアタイプは、だいたいこの2種。
    「黒」といっても、スタウトやポーターのような上面発酵ではなく、下面発酵のミュンヘン・タイプのダーク・ラガー(ミュンヒナー・ドゥンケル)。
    チェコ語では“トゥマーヴェ(tmave)”と言う。ドイツ語の“ドゥンケル”同様、英語の“ダーク”と同義。
    
    ビールゆかりの地
    
    まず第一に挙げられるのが、西ボヘミアのプルゼニュ(Plzen)。ドイツ語読みのピルゼンという名前の方がよく知られているこの町は、もちろんピルスナー・ビール発祥の地。ピルスナーの代名詞プラズドロイ(ピルスナー・ウルケル=ピルスナーの源泉の意味)を醸造するプラズドロイ醸造所がこの町にある。
    ビールの町をもう一つ挙げるなら、南ボヘミアのチェスケ・ブジェヨヴィツェ。アメリカのビール、バドワイザーの名前が、このビールの町のドイツ語読みブドヴァイスから取られているのは有名な話。プラズドロイと並んで世界的に有名なチェコのビール、ブジェヨヴィツキー・ブドヴァル(ブドヴァイゼル・ブドヴァル)をつくっているブドヴァル醸造所がこの町にある。
    忘れてはならないのが、ジャテッツ。ドイツ語では、ザーツと呼ばれるここは、ドイツのハラタウ・ホップと並ぶ、アロマ・ホップの最高峰、ザーツ・ホップの産地として有名。
    数々のピヴニツェがあるプラハももちろんビール都市。この町には、4つの醸造所もある。
    
    どこでビールを飲むか?
    
    チェコでビールを飲ませるところには、だいたい次の4つがある。
    1. ピヴニツェ(pivnice)
      ピーヴォ(ビール)を飲ませるところ、というくらいの意味で、一番ビアホールのイメージに近い。
    2. レスタウラツェ(restaurace)
      もちろんレストラン、食堂の意味。
    3. ホスティネツ(hostinec)
      英語で言うところのインのことで、宿屋兼食堂・酒場といったところ。
    4. ホスポダ(hospoda)
      英語に訳すとパブ。
    こうした分類は、それぞれの店がそう名乗っているわけたが、中には同じ店でも、こちらの看板にはピヴニツェと書いてあるのに、別の看板にはレスタウラツェと書いてある、といったこともあり、この区分けははっきりとしたものではない。
    ただ、レスタウラツェはビールも食べ物も割と値段が高めなことが多いようだ。これらを総称してピヴニツェと呼ばれることが多いようだ。
    
    “ピヴニツェ”でビールを飲む
    
    一軒のピヴニツェで出すピルスナー・タイプの生ビールは一銘柄に限られていることが多いが、そのほかにトゥマーヴェも置いている店が多い。トゥマーヴェの銘柄は、その店で出しているピルスナー・タイプのビールと同銘柄の場合も違う場合もある。
    ビール一杯の量はどの店も500mlが標準で、「小さいの」と頼むと、300mlのものが出てくる。 500mlのグラスは、持ち手の付いたジョッキと、上が少し広がった長いグラスの2種類が主流。ジョッキは縦縞の模様が入ったものが多いが、斜めの格子やディンプルのものもある。ビールの銘柄のロゴマーク入りもある。
    500ml一杯の値段(`95年9月現在)は、安めのところで13〜15k(コルナ)、日本円にして50〜60円。レストランなどで35kくらいところがあると、「高い」と思ってしまうのだが、これだってたかだか150円である。ただし、チェコの所得水準からいくと、そう安くはないようだ。
    勘定方式は、ビールを注文する度にボーイが、伝票にペンで線を引っ張っていき(日本なら正の字を書くところか)、最後にボーイがその数を数えて計算し、客が席でボーイにその金額を払う形。

    <チェコのビールに関する本・参考文献>

  • "GOOD BEER GUIDE TO PRAGUE AND THE CZECH REPUBLIC"
    (Graham Lees, CAMRA,1996)
    イギリスのビール愛好家の団体"CAMRA"(Campaign for Real Ale)から、ミュンヘンとババリア地方のガイド、ベルギーとオランダのガイドに続いて、96年夏に出版されたばかりの「チェコ・ビール・ガイド」。私はまだ未入手だが、プラハ、プルゼニュ、チェスケ・ブジェヨヴィツェなどのビアホール・ガイドが中心とのこと。CAMRAの創設者の一人であるグレアム・リース氏が執筆しているだけに、単なるガイドでは終わっていないようで、`89年以後、資本主義経済の導入に伴い、チェコのビールの様々な古き良き伝統が失われてしまったことも描かれている。

  • "A GUIDE TO THE BEER-HALLS OF PRAGUE"
    (Laszlo Polgar/Gyorgy Simko, MLADA FRONTA, 1992)
    チェコで出版されている、英語の「プラハ・ピヴニツェ(ビアホール)・ガイド」。イラスト入り。ピヴニツェを回るつもりの人は、プラハを訪れたらこれを買いたい。ただし、どこにでも売っているというわけではない。

  • 「プラハの浮世酒場」(松平誠・編著、岩波書店、1994)
    岩波の「旅の本箱」シリーズの一冊。プラハのピヴニツェ(ビアホール)について、ある程度ガイド的要素も織り込みながら、社会学的、歴史的、文学史的な側面から考察を行っている。たぶん、日本語で書かれた唯一の、チェコ・ビール関連の本で、プラハの醸造所やブドヴァル醸造所などについても触れられているが、ビール自体に関する記述は少ない。  
  • 以下のマイケル・ジャクソンとロジャー・プロッツの本にも、チェコのビールやピヴニツェに関する記述が多いので、参考になる。


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